コロナ禍の4-6月期【利益倍増】企業


3月期決算企業の21年3月期第1四半期(4-6月)決算がほぼ出そろった。
本特集では、時価総額1000億円以上の銘柄を対象に、直近3ヵ月実績である4-6月期(第1四半期)の経常利益が前年同期比で倍増した26社をリストアップし、増益率の大きい順に並べた。下表では四半期ベースの「増益連続期数」、4-6月期経常利益の通期計画に対する進捗割合を表す「対通期進捗率」も併せて記した。

増益率トップとなったのは武田薬品工業 <4502.T>

20年4-6月期(第1四半期)の税引き前利益は前年同期の101億円から1302億円に急拡大して着地。アイルランド製薬大手のシャイアー買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整などにかかる非資金性の費用が減少したことに加え、シャイアーとの統合費用が低下したことなどが大幅増益の要因となった。第1四半期業績の好調を踏まえ、通期の同利益を従来予想の2000億円から2300億円に上方修正している。

2位に入った近鉄エクスプレス <9375.T>

4-6月期経常利益は前年同期比8倍の82億円に膨らんだ。新型コロナウイルスの影響で航空貨物の取り扱い物量が減少したものの、旅客便の減便による輸送スペースの大幅な減少とそれに伴う運賃原価及び販売価格の上昇が収益を押し上げた。併せて、非開示だった21年3月期業績は同利益が前期比9.0%増の190億円に伸びる見通しとし、配当は前期と同額の30円を実施する方針を示した。

続く3位のコーエーテクモホールディングス <3635.T>

IPを許諾したスマートフォン向けゲーム「三国志・戦略版」が引き続き好調でロイヤリティ収入が大きく増加したほか、前期に発売した「仁王2」などのリピート販売も順調に推移した。さらに、投資有価証券売却益が30億円増加したことも利益を押し上げ、4-6月期の経常利益は前年同期比7.2倍の89.5億円と急拡大した。

選出リストでは、コーテクHDをはじめ、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に高まる巣ごもり需要の波に乗り、業績を伸ばすゲーム関連株が目立つ。

4位の任天堂 <7974.T>

4-6月期はゲーム機「ニンテンドースイッチ」とスイッチ用ソフトの販売が大きく伸びた。スイッチ本体の販売台数は前年同期比2.7倍の568万台、ソフトは大ヒットタイトル「あつまれ どうぶつの森」を筆頭に同2.2倍の5043万本を記録した。第1四半期実績だけで、通期計画の2900億円に対する進捗率は5割を超えており、業績上振れが期待される。

5位のミクシィ <2121.T>

人気IPとのコラボなどが奏功し、主力のスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」の課金収入が増加した。9位のスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684.T>

4月に発売した新規タイトル「ファイナルファンタジー7リメイク」のデジタル販売が大きく伸びたうえ、ライセンス収入も増えた。また、昨年9月にリリースしたスマートフォン向けゲーム「ドラゴンクエストウォーク」なども収益拡大に貢献した。

11位のディー・エヌ・エー <2432.T>

スマートフォンゲームやライブ配信事業が好調だったほか、連結子会社だったSHOWROOMの株式売却益を計上したことも利益を大きく押し上げた。ゲーム関連では、コーテクHDとスクエニHDが好調な決算を背景に上場来高値を更新したほか、任天堂は約12年ぶりの高値圏を快走する展開が続いている。

このほか、8位にリストアップされたオイシックス・ラ・大地 <3182.T>

4-6月期は売上高、経常利益ともに四半期ベースの過去最高を大幅に更新した。新型コロナウイルスの感染拡大による旺盛な宅配需要を追い風に、国内宅配事業の会員数が増加したうえ、既存会員を中心に購買頻度、単価がともに大きく上昇した。また、Oisixにおける出荷能力の逼迫に伴う新規顧客獲得の休止で、販促費用が大幅に未消化となったことも利益拡大の要因になった。株価は決算発表翌日から連日ストップ高を演じ、上場来高値を大きく塗り替えている。

本特集では、8月20日に配信した時価総額1000億円以上の銘柄を対象とした「コロナ禍の4-6月期【利益倍増】企業はこれだ!〔第1弾〕」に続き、時価総額1000億円未満の銘柄を対象とする第2弾をお届けします。

今回は時価総額300億円以上1000億円未満の3月期決算企業の中から、直近3ヵ月実績である4-6月期(第1四半期)の経常利益が前年同期比で倍増した28社をリストアップし、増益率の大きい順に並べた。下表では四半期ベースの「増益連続期数」、4-6月期経常利益の通期計画に対する進捗割合を表す「対通期進捗率」も併せて記した。

増益率トップとなったのはベガコーポレーション <3542.T>

20年4-6月期(第1四半期)は売上高が前年同期比61.1%増の53.4億円、経常利益は同58倍の7.5億円となり、いずれも四半期ベースの過去最高を大きく塗り替えた。家具・インテリアの通販サイト「LOWYA」の他社ECモールから自社旗艦店へのシフトが順調に進捗するなか、新型コロナウイルスの影響による需要押し上げが追い風となった。また、販売価格と商品構成の見直しによる原価率の改善に加え、販管費の抑制なども利益拡大につながった。併せて、通期の同利益予想を4期ぶりの最高益に大幅上方修正している。

2位に入ったカオナビ <4435.T>

クラウド人材管理システム「カオナビ」をサブスクリプション方式でサービス展開している。4-6月期は新型コロナウイルスの影響で新規顧客獲得ペースは鈍化したものの、カオナビ利用企業の増加基調が継続したことで月額課金収入が大きく伸びた。また、事業環境に合わせた広告宣伝費の見直しなど柔軟なコストコントロールを実施したことも奏功し、経常利益は前年同期の600万円から1億1900万円に急拡大した。

続く3位のJストリーム <4308.T>

主力のライブ配信で医薬領域のWEB講演会向け売り上げが複数の顧客で大幅に増加したほか、金融領域では感染症対策としてバーチャル株主総会へのニーズが顕在化した。また、学習塾などを中心に動画配信プラットフォームの利用が伸びたこともあり、4-6月期の経常利益は前年同期比17倍の2.4億円に拡大して着地。併せて、非開示だった通期の同利益は前期比60.1%増の9億円に伸び、2期連続で最高益を更新する見通しとなった。

6位の保土谷化学工業 <4112.T>

新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、子会社で開発したPCR診断キット用材料が複数の診断キットメーカーに採用され需要が急増し、4-6月期の経常利益は前年同期比4.9倍の23.9億円に膨らんだ。スマートフォン向けディスプレー分野で液晶から有機ELへの切り替えが進み、有機EL材料の販売が伸びたことも収益拡大に貢献した。

9位にリストアップされたアイティメディア <2148.T>

ソフトバンク系のオンライン専業メディア。4-6月期は売上高14.2億円(前年同期比26.2%増)、経常利益3.2億円(同3.8倍)と業績高変化をみせた。リードジェン事業では新システムによるリード(見込み顧客)生成効率の向上で需要拡大に対応したほか、展示会やセミナーをオンライン化するバーチャルイベントサービスが急成長を遂げた。また、メディア広告事業では「ねとらぼ」を中心に多くのメディアでページビューが増加し、広告収入が伸びた。

11位のカワチ薬品 <2664.T>

新型コロナウイルスの感染拡大で感染予防関連商品や生活必需品を中心とした巣ごもり消費関連商材の販売が好調だった。また、販促活動の自粛による広告宣伝費の抑制や残業時間の削減なども寄与し、4-6月期は2ケタ増収増益を達成した。第1四半期業績の好調に伴い、減益予想だった21年3月期通期の同利益を一転増益見通しに大幅増額修正している。

20位にリスト入りしたライドオンエクスプレスホールディングス <6082.T>

4-6月期はコロナ禍によるフードデリバリー需要の拡大を追い風に、宅配寿司「銀のさら」、宅配御膳「釜寅」ともに注文が大きく伸び、売上高、経常利益ともに四半期ベースの過去最高を更新した。第1四半期経常利益(6.7億円)の通期計画16.1億円に対する進捗率は41.9%と高水準で業績上振れも期待される。株価は19日に上場来高値となる3115円まで上値を伸ばしている。

  • <9956.T> バローHD
  • <9919.T> 関西スーパ
  • <9831.T> ヤマダ電
  • <9715.T> トランスコス
  • <9684.T> スクエニHD
  • <9519.T> レノバ
  • <9509.T> 北海電
  • <9508.T> 九州電
  • <9505.T> 北陸電
  • <9504.T> 中国電
  • <9375.T> 近鉄エクス
  • <9101.T> 郵船
  • <8795.T> T&D
  • <8715.T> アニコムHD
  • <8609.T> 岡三
  • <8604.T> 野村
  • <8515.T> アイフル
  • <8282.T> ケーズHD
  • <8173.T> 上新電
  • <7974.T> 任天堂
  • <6754.T> アンリツ
  • <6741.T> 信号
  • <6737.T> EIZO
  • <6702.T> 富士通
  • <6622.T> ダイヘン
  • <6407.T> CKD
  • <6258.T> 平田機工
  • <6082.T> ライドオンE
  • <4617.T> 中国塗
  • <4502.T> 武田
  • <4435.T> カオナビ
  • <4308.T> Jストリーム
  • <4113.T> 田岡化
  • <4112.T> 保土谷
  • <4008.T> 住友精化
  • <3661.T> エムアップ
  • <3635.T> コーテクHD
  • <3542.T> ベガコーポ
  • <3231.T> 野村不HD
  • <3182.T> オイシックス
  • <2899.T> 永谷園HD
  • <2790.T> ナフコ
  • <2692.T> 伊藤忠食
  • <2664.T> カワチ薬品
  • <2588.T> プレミアムW
  • <2432.T> ディーエヌエ
  • <2148.T> ITメディア
  • <2121.T> ミクシィ
  • <1941.T> 中電工
  • <1898.T> 世紀東急
  • <1884.T> 日道路
  • <1881.T> NIPPO
  • <1870.T> 矢作建
  • <1815.T> 鉄建建設

株探ニュース

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