コロナウイルス まとめ記事 8/18



ロシア製ワクチン

ロシアが開発したワクチンに世界の注目が集まるが

世界初の新型コロナワクチンは「スプートニクV」と名付けられ、9月から大量生産が始まる見通し

ロシアのプーチン大統領は8月11日、国内で開発された世界初の新型コロナウイルスのワクチンを承認すると発表した。臨床試験の開始から2カ月弱で、最終段階となる第3段階は始まったばかりだ。

スプートニクVと名付けられたワクチンは、9月から大量生産が始まる見通し。プーチンは、自身の娘の1人もワクチンを接種したと明かした。接種後には一時発熱したが「それだけだった」という。プーチンが娘について言及するのは、極めて珍しいことだ。

newsweek


コロナウイルスにまつわる偽情報の蔓延で数百人が死亡

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴って、噂やデマを含め、真偽不明の情報が大量に氾濫した。その実態が調査された……

噂やデマを含め、真偽不明の情報が大量に氾濫して信頼すべき情報が見つけづらくなり、多くの人々に混乱や動揺をもたらす「インフォデミック」が、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴って深刻な社会問題となっている。「インフォデミック」とは、「インフォメーション(情報)」と感染症の伝染を指す「エピデミック」を合わせた言葉だ。

このほど発表された研究論文によると、新型コロナウイルス感染症にまつわるインフォデミックが、人々の生命や健康をも脅かしていることが明らかとなった。

多くの噂や偏見、陰謀論が流布

バングラデシュ国際下痢性疾病研究センター(Icddr,b)、豪ニューサウスウェールズ大学らの国際研究チームは、2019年12月31日から2020年4月5日までの間、ニュースサイトやフェイスブック、ツイッターなど、オンラインプラットフォームで広まった新型コロナウイルス感染症に関する噂や偏見、陰謀論とその公衆衛生への影響について分析。一連の研究成果を2020年8月10日に「米国熱帯医学ジャーナル(AJTMH)」で発表した。

研究チームでは、北米、欧州、中国、日本を含め、世界85カ国25言語で2311種の噂や偏見、陰謀論を特定した。そのうち噂が89%と大半を占め、7.8%が陰謀論、3.5%が偏見であった。

1月21日から4月5日までに新型コロナウイルス感染症にまつわるインフォデミックの波が3回現れている。インフォデミックの第一波は、中国湖北省武漢市で感染が広がった1月21日から2月13日で、2月14日から3月7日までの第二波がこれに続いた。欧米で感染が拡大した3月8日から3月31日までの第三波は、第一波や第二波に比べて、より多くの噂や偏見、陰謀論が流布した。

メタノールを飲んで約800人が死亡、ウシの尿や糞が効くという偽情報も

噂は、新型コロナウイルス感染症の疾病や感染、死亡率にまつわるもの、予防策や治療法に関するものが多くみられた。予防策として「高濃度アルコールの摂取がウイルスの消毒になる」という偽情報がイランなど世界各地で広まり、新型コロナウイルス感染症の治療に効果があると信じてメタノールを飲んだ人のうち、5900人が入院、約800人が死亡し、60名が失明した。

インドではSNS経由の偽情報で多くの人々がウシの尿を飲んだり、糞を食べたりした。また、サウジアラビアではラクダの尿が治療に効くとする偽情報も出回った。他にも、ニンニクを食べる、暖かい靴下を履く、胸にガチョウの脂肪をまき散らすと予防に効果的などの噂が流布していた。

「深く息を吸って10秒我慢し、咳が出たり、息切れするといった不快な症状がなければ、新型コロナウイルスへの感染の可能性は低い」など、不確かな情報源に基づく自己診断法なども広く拡散された。

アジア系住民への人種差別、ビル・ゲイツへの陰謀論……

医療従事者への差別やアジア系住民への人種差別もみられ、家主や近隣住民らからの中傷や暴言、暴力が世界中で確認されている。「新型コロナウイルスは国際組織によって作製された生物兵器である」といった陰謀論も、中国、イラン、ロシア、英国、米国を中心に、世界各地に拡散された。また、ワクチンをめぐってもビル・ゲイツ氏が「ワクチンを利用して、膨大な数の人々にマイクロチップを埋め込み監視しようとしている」などと陰謀論の標的となっている。

噂や偏見、陰謀論による偽情報が科学的知見に基づくガイドラインよりも優先されれば、個人や社会に深刻な影響がもたらされかねない。

研究チームは「政府や地方自治体は、これらの誤情報が世界で循環するパターンを理解することが必要だ」と説く。また、政府や地方自治体がとるべき具体的な対策として、「科学的根拠に基づいた正確で適切な情報を公式サイトできちんと公開するとともに、正しい情報の流布のためにソーシャルメディアと連携すべきだ」と助言している

newsweek


ユタ州の農場でミンク大量死、検査でコロナ感染確認米国では初

米農務省(USDA)は17日、ユタ州の2つの農場で毛皮生産用に飼育されていたミンクが新型コロナウイルス検査で陽性だったと明らかにした。米国でのミンク感染は初となる。

感染したミンクと接触のあった複数の人が陽性だったという。

検査は、農場でミンクの異常な大量死が発生したことを受けて実施した。


インドの新型コロナ死者が5万人突破地方で感染深刻化

インドの新型コロナウイルス感染症による死者数は17日、5万人を突破、感染者数は265万人近くとなった。感染は地方の町や村などに広がっている。

政府のデータによると、過去24時間に報告された新たな感染者数は5万7981人、死者は941人。累計で感染者数は264万7663人、死者は5万0921人となった。

感染者数は米国、ブラジルに次ぐ世界3位。200万人を超えているのは、この3カ国のみだ。

政府の医療研究機関は17日、過去24時間に実施した検査が73万人超だと発表した。モディ首相は1日100万人の検査を目標としている。

インドでは7月30日以降、1日当たりの新規感染者数が5万人以上の日が続いている。ニューデリーやムンバイなどの大都市からウッタルプラデシュ州やビハール州といった経済的に貧しい内陸地域に感染が波及している。

newsweek


コロナ禍でも業績成長トレンドテーマ

★人気テーマ・ベスト10
12020年のIPO
2デジタルトランスフォーメーション
35G
4巣ごもり
52019年のIPO
6ゲーム関連
7コロナウイルス
8eコマース
9サイバーセキュリティ
10金

みんなの株式と株探が集計する「人気テーマランキング」で、「巣ごもり」が4位となっている。

新型コロナウイルスの感染拡大を警戒して外出自粛の動きが顕著となり、個人消費は大きく落ち込んだ。前日発表された20年4~6月期の実質GDPは前期比年率で27.8%の過去最悪の落ち込みとなったが、そのなかGDPの5割以上を占める個人消費の落ち込みについては事前の市場コンセンサスも下回った。旅行や外食などが空前の低水準となっている。

しかし、消費すべてが極度に冷え込んでいるというわけではない。一方では今の在宅環境をプラス要素として取り込み、収益機会を高めている消費関連銘柄もある。人々の生活でいわゆる「巣ごもり」という形態が恒常化するなか、物品を購入する際にはネット通販が活用され、レジャーでは家庭内で楽しめるゲーム関連の需要が高まる。また、食事も内食志向となることでスーパーの食品売り上げが拡大、また、外食に代わって宅配ニーズなども強く喚起されている。

関連銘柄としては、ネット通販市場の拡大で商品の倉庫管理や配送業務などを手掛けるファイズホールディングス<9325.T>やSGホールディングス<9143.T>、丸和運輸機関<9090.T>。ゲーム関連では任天堂<7974.T>を筆頭に、ソニー<6758.T>、カプコン<9697.T>、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684.T>など。食材関連ではオイシックス・ラ・大地<3182.T>。食品スーパーでスーパーバリュー<3094.T>、宅配でライドオンエクスプレスホールディングス<6082.T>。動画配信でJストリーム<4308.T>などが注目される。

出所:MINKABUPRESS


新型コロナ対策アプリ及びクラウドシステムの提供開始

アクロディア<3823.T>がカイ気配スタートとなっている。17日の取引終了後、新型コロナウイルス対策アプリ及びクラウドシステムの提供を開始すると発表したことが好感されている。

同社は塩野義製薬<4507.T>との販売契約のもと、新型コロナウイルス向け抗体検査キットの販売を既に開始し、PCR検査も受注する体制を整えているが、その一環として各検査の結果を管理し、手軽に従業員などの個人及び雇用主や団体側で全面的に管理することができるシステムとして同アプリ及びクラウドシステムを開発したという。同アプリシステムでは、抗体検査だけではなく、日々の体温体調管理やPCR検査の手配、結果管理機能なども搭載しており、検査を実施する企業の担当者の管理業務を大きく軽減させるとしている。なお、業績に与える影響は、今後判明し次第開示する。

(注)タイトル末尾の「◇」は本文中に複数の銘柄を含む記事を表しています。

出所:MINKABUPRESS


「PCR検査関連」に新局面

検査体制強化の動き加速

厚生労働省は、7日に発表した地方自治体における検査体制の点検状況(概要)で、PCR検査などの検査需要は、今後の流行ピーク時で1日当たり約5万6000件になるとした。また、検体採取能力、PCR検査能力の件数については、9月末には約7万2000件が確保される見込みだとしている。日本における感染者数について、当初はPCR検査数の少なさが国内外から指摘され実態把握にほど遠いとの声が上がっていたが、ここにきて検査体制強化の動きが加速している。日々発表される感染者数の増減に、日本列島は一喜一憂する日々が続いているが、こうしたなか最前線で活躍する関連株への期待も大きい。

ミズホメディー、PCR検査への関心改めて意識

直近では13日の取引終了後に、ミズホメディー<4595.T>[東証2]が新型コロナウイルス感染症遺伝子検査キット「スマートジーン新型コロナウイルス検出試薬」(研究用試薬)が公的医療保険適用の対象となり、8月19日に発売すると発表。これを受けて、株価は翌日にはストップ高となりPCR検査への関心の高さを改めて意識させることになった。きょうも一時383円高の2097円まで買われるなど、上げ足を速めている。同試薬は、PCR法を用いた「全自動遺伝子解析装置SmartGene(スマートジーン)」専用の遺伝子POCT検査(診察室、病棟及び外来患者向け診療所など、患者に近い医療現場での検査)キット。遺伝子の抽出・増幅・検出の全ての工程を1つのカートリッジ内で行い、1時間程度で新型コロナウイルスを検出することができるという。これにより基幹病院だけではなく、開業医、診療所などでも、高感度な新型コロナウイルス感染症の遺伝子POCT検査を検査当日中に行えるようになる。なお、20年12月期業績への影響は「売上高へ寄与するものと期待されるが、現在精査中」としている。

PSS、医学生物には浮揚の気配

プレシジョン・システム・サイエンス<7707.T>[東証M]は、提携するエリテック社製の全自動PCR検査装置「エリートインジーニアス」とPCR試薬「エリートMGBSARS-CoV-2キット」を8月3日から販売開始した。併せて、自社ブランドの全自動PCR検査装置「ジーンリードエイト」とセルテスト社製「COVID-19」検査用PCR試薬「VIASURESARS-CoV-2PCR」についての同日発売を発表するなど、検査にかかわる動きを活発化させており今後の展開からも目が離せない。また、前述の検査用PCR試薬2製品は、保険適用の対象製品になっているという。今後の事業見通しについては、同製品販売を見込んだ事業計画を策定中だとしている。更に7月22日には、経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」に採択されたと発表した。同社では、全自動PCR検査システムの積極的な製品供給を行うための体制構築を事業方針として掲げており、試薬及び消耗品増産のための設備投資を目的として申請していたもの。補助金の採択金額は上限で20億2300万円。なお、20年6月期業績に及ぼす影響はないとしている。4月初旬には400円前後だった株価は上昇ロードを一気に駆け上がり、6月中旬には3150円に買われるという急騰劇を演じ市場の注目を集めた。現在は、上昇一服で2000円水準にあるが、目先調整一巡感も。

臨床検査薬・研究用試薬を製造する医学生物学研究所<4557.T>[JQ]は、6月に同社が製造・販売する新型コロナウイルス検出キット「MEBRIGHTSARS-CoV-2キット」が、唾液検査でも使用可能となったと発表した。同キットは、5月21日に製造販売承認を取得した、リアルタイムPCR法を原理とする体外診断用医薬品。この一部変更申請の承認により、使用可能な検体の種類が広がり、新型コロナウイルス感染の診断補助で活躍期待が高まっている。株価はここ下値模索が続いているが、7月31日につけた直近安値2784円で底打ち感も漂うだけに、目を配っておきたいところだ。

タカラバイオは継続注目

タカラバイオ<4974.T>には継続注目。株価は6月11日に3535円まで買われ年初来高値を更新した後は上昇一服場面にあるが、それでも高値圏で頑強展開を続けている。同社は、4日の取引終了後、21年3月期連結業績予想について、売上高を338億円から396億円(前期比14.6%増)へ、営業利益を45億円から65億円(同3.6%増)へ上方修正した。新型コロナウイルス検査用のPCR関連製品やDNAワクチン関連の製造受託など、業績への寄与が期待できるアップサイドの要素を新たに業績予想に織り込んだという。また、同社は大阪大学とアンジェス<4563.T>[東証M]らのグループと新型コロナウイルスに対する予防用DNAワクチンの開発に携わっており、この切り口でも注目場面は続きそうだ。

そのほかでは、新型コロナウイルス感染症研究に使用できる研究試薬を豊富に取り揃えるバイオ専門商社のコスモ・バイオ<3386.T>[JQ]、第1四半期が営業益84%増で対上期計画進捗率73%となった臨床検査薬中堅のカイノス<4556.T>[JQ]などからも目が離せない。

BML、HUグループには光明も

一方、PCRなど検査の最前線に立つ民間の臨床検査大手の業績は厳しい状況だ。PCR検査受託数は増加しているものの、新型コロナウイルス感染拡大による影響で、健康診断や受診患者数の減少などが響いている。ビー・エム・エル<4694.T>は11日に発表した第1四半期連結決算が、売上高が前年同期比15.3%減の261億900万円、営業損益1億800万円の赤字(前年同期31億7900万円の黒字)、最終利益1億1100万円(同21億3400万円の黒字)となった。また、7日に発表したH.U.グループホールディングス<4544.T>(7月1日、みらかホールディングスから社名変更)の第1四半期の連結最終損益は13億8300万円の赤字になるなど、総じて臨床検査大手の業績は芳しくない。ただ、光明もないわけではない。

BMLでは「臨床検査事業で、健康診断の再開などにより検査数量は回復してくるとみている。PCR検査に関しては、足もと受注は拡大していくと考える」(経営企画部)という。

事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、常時使用する労働者に対して1年以内ごとに1回は定期健康診断を実施しなければならず、また労働者は事業者が行う健康診断を受けなければならないことから、新型コロナウイルスにより減少した受診患者数も年度末に向けて後ずれすることで回復基調を見せることが予想される。ある業界関係者は「健康診断などによる検査が、業務のなかでどのくらいの比率を占めるかで影響も違うだろうが、少なくとも業績回復の足掛かりにはなるのではないか」と話す。BML、HUグループともに株価は下値を探る展開が続くが、その動向には注視しておきたい。

新型コロナウイルスの猛威は、収束見通しからは程遠い状況へと追いやっている。秋には、更なる感染拡大も懸念されるなか、まずはPCR検査の拡充、そして医療体制の強化が最重要課題として求められている。

株探ニュース


富士フイルム、英国政府向けコロナワクチン候補の原薬製造を受託

[東京17日ロイター]-富士フイルムホールディングス<4901.T>は17日、傘下のフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズが、英国政府が調達する新型コロナウイルス感染症のワクチン候補の原薬製造を受託したと発表した。
今回受託するワクチン候補は、米ノババックスが開発する「NVX-CoV2373」。最大6000万回分の投与量の原薬供給に向けて、2021年初から英国拠点で製造を開始する。英国拠点では最大1億8000万回分/年の投与量の原薬を製造できるため、英国以外への供給も可能という。


南アランド上昇、大統領がコロナ規制解除を発表

*南アフリカランドは上昇。ラマポーザ大統領が新型コロナ対策規制の全面的解除を発表した。
*大統領は、17日深夜からアルコールやたばこの販売禁止を撤廃すると発表。州をまたいでの旅行やレストランなどの通常営業も可能に。


「エアロゾル感染」を防止せよ、高まる空気清浄化の重要性

―WTOは空気感染の可能性認める、ビルや商業施設の空調施設に改装需要も―

新型コロナウイルス感染症の拡大が世界規模で続くなか、7月上旬に200人を超える科学者が同ウイルスの空気感染に関する可能性を示す科学的根拠があると共同意見書を発表し、世界保健機関(WHO)に対応策を見直すよう求めた。WHOでは、これまで浮遊するウイルスが感染経路になるという見方には説得性がないとの立場だったが、共同意見書を受けて新たなガイドラインを示し、一転して空気感染の可能性を一部認めている。こうした状況のなかで、微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体である「エアロゾル」を介した新型コロナウイルスへの感染を防ぐ対応が世界各国で迫られている。株式市場でも「エアロゾル感染防止」関連株を物色する動きが本格化しそうだ。

新型コロナウイルスは長時間空中を浮遊することも

新型コロナウイルスによる感染は、一般的には感染経路の中心が接触感染及び飛沫感染とされている。接触感染においては手洗いやうがいなどが有効で、飛沫感染の対応策としては飛散を防止するマスクやフェイスシールドなどが有効だ。しかし、閉鎖空間において複数人が近距離で会話するなどの一定の環境下であれば、咳やくしゃみなどがなくても感染を拡大させるリスクが当初から指摘されている。更に、一定の距離を保っていたとしても、前出のように飛沫よりも細かい霧状の粒=「エアロゾル」としてウイルスが空気中を長時間浮遊し、エアコンから排出される風の流れなどによって、十分距離をあけている人にも実は感染リスクがあるとされた。

感染を予防するためには、基本的な予防の実施や不要不急の外出の自粛、「3密(密閉、密集、密接)」を避けることなどが重要とされ、国や各自治体が主導してこれらの実施を継続して訴えている。厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議によると、これまでに国内で感染が確認された人のうち重症・軽症に関わらず約8割の人は、他の人に感染させていない一方で、一定の条件を満たす場所において、1人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されている。同会議の見解として、集団感染が生じた場の共通点として、換気の悪い密閉空間、多くの人が集まる密集場所、互いに手が届く距離で会話などが行われる密接場面において感染を拡大させるリスクが高いと改めて強調している。

一方で、高い関心を集めているGoToキャンペーンの実施からもわかるように、政府は感染予防を継続しつつも、これ以上の経済的影響も避けたいとしており、経済活動の再開を推進している。新型コロナウイルスの感染が再び全国的に拡大し、連日で3ケタの新規感染者が報告されているなかではあるが、経済活動の本格的な再開を推進するうえでは、これまでの感染予防策のほか、今回指摘された空気感染による対策が今後、経済活動を本格的に推進するうえで重要な位置付けとなるだろう。

空気清浄機や空調システムには需要増の追い風

空気感染の防止については、室内換気が本来もっとも有効性があるが、その代替として空気清浄機の需要が増える可能性が高いだろう。カビ菌の除去やウイルスの働きを抑えるイオン「プラズマクラスター」機能を搭載した製品を展開しているシャープ<6753.T>や花粉汚れに強い「ナノイー」を搭載していることで知られるパナソニック<6752.T>、花粉と有害物質の分解やPM2.5を除去する「ストリーマ」技術を搭載しているダイキン工業<6367.T>などが関連銘柄として挙げられる。

また、企業や大規模設備などの空調システムにおいては設備需要が見込まれる。新型コロナウイルス感染拡大に伴い工場など一部施設への入場が制限され、メンテナンスや工事業務が延期となった企業は多く、足もとの業績においては新型コロナウイルスによる影響を受けているだろう。しかし、経済活動が再開されるなかで、コロナ対策は避けられない最重要課題でもあるため、空調設備のメンテナンスやリニューアル工事の需要が今後増えてくる可能性は十分に期待されるところだ。

この分野では日本空調サービス<4658.T>や空調自動制御システムを手掛けている日本電技<1723.T>[JQ]のほか、感染症対策製品としてクリーンルームやエアシャワー、HEPAフィルター付空気清浄機などの感染症対策機器を手掛けている日本エアーテック<6291.T>が注目されるだろう。

その他、ビルや商業施設など工業向け空調システム機器を手掛けている木村工機<6231.T>[東証2]、空調、換気などの環境エネルギー商材や換気、除菌などウイルス対策商材などを手掛けている橋本総業ホールディングス<7570.T>、それに因幡電機産業<9934.T>は空調部材を手掛けており、学校向け空調設備に実績がある。また、三機サービス<6044.T>は全国のセブン-イレブンなど小売チェーンの空調などの設備メンテナンスを一括で受け持っている。

ポエックやクオールHD、日機装などにも注目

更に、ウイルスを死滅・除去する取り組みも活発化してくると考えられる。これに関連する銘柄としては、ポエック<9264.T>[JQ]、ウシオ電機<6925.T>、クオールホールディングス<3034.T>、日機装<6376.T>などが挙げられる。ポエックは、ポンプを通じて水と空気に重点を置いた環境装置全体に事業分野を広げている。同社はウイルスを酸化させる作用を持つオゾン水製造装置や脱臭装置を開発しているほか、7月28日には東北大学とウイルス感染作用を取り除く不活化技術の開発と製品化に向けた共同研究契約を締結したと発表している。

ウシオ電機は、ウイルスを不活化する「222nm紫外線殺菌・ウイルス不活化ユニット」の開発に着手している。人体に直接照射しても急性障害である紅斑が発生しないことが臨床試験で確認されており、製品化を目指している。クオールHDは、感染者が滞在した部屋を消毒するオゾン発生器を医療機関向けに手掛けている。日機装は深紫外線LED搭載空間除菌消臭装置Aeropure(エアロピュア)とオゾン水手洗い装置Handlex(ハンドレックス)などを手掛けており、4月には東京都に寄贈している。

株探ニュース


新型コロナオペ、残高増が一服マイナス金利の副作用緩和で需要継続

[東京14日ロイター]-日銀が実施している新型コロナオペの残高増加が一
服してきた。貸出の増加ペースが鈍化してきたほか、オペを利用するための担保も少なく
なってきているためだ。3カ月物国庫短期証券の利回りが上昇してきたことで、他の運用
先も広がってきた。ただ、0.1%の金利がもらえるなどの「ボーナス」があるため、マ
イナス金利の副作用緩和を目的に、引き続き一定額は利用されるとみられている。

初の減少

日銀は13日に新型コロナオペを実施したが、利用残高は23.3兆円となり、前回
7月22日の27.1兆円から減少した。同オペは3月から行われているが、残高の減少
は初めて。5月14日に実施されたオペが8.6兆円満期を迎えたが、今回の実施額は4
.9兆円となり、差し引き3.8兆円縮小した。

新型コロナオペは大きく分けて2種類あるが、社債等を担保に日銀から資金を借りる
オペは、主な利用先である大手銀行の需要が一服したとみられている。同オペを利用する
ことで、得られる0.1%の付利金利と、ゼロ金利が適用される(マイナス金利が回避で
きる)マクロ加算残高が2倍になるメリットを享受してきたが、需要に減速感が出てきた

「大手銀行はマクロ加算残高の枠が十分確保できたようだ。3カ月物国庫短期証券の
利回りも上昇してきており、そこで運用することもできる。利用するための担保が十分で
なくなっている可能性もあり、オペの利用ペースは今後伸びにくいだろう」と、野村証券
のシニア金利ストラテジスト、中島武信氏は指摘する。

このオペに利用可能な担保の残高は7月末時点で31.9兆円。前月から2.9兆円
増えているが、7月だけで新型コロナオペ全体の利用額は6.3兆円増加しており、都銀
などには担保上の制約がかかり始めた可能性がある。

もう1つの新型コロナオペである新たな資金供給手段を利用するには、実質無利子・
無担保の融資を行う必要がある。この融資の実行額は6月の1兆円程度から7月上旬には
0.8兆円程度まで鈍化。都銀の貸出も7月は前年比では伸びたが、実額(平残)では減
少している。貸出の伸び悩みも新型コロナオペ鈍化の要因とみられている。

裁定取引の需要は継続か

ただ、新型コロナオペは引き続き一定程度、利用されるとみられている。オペを使っ
て資金調達すれば0.1%の金利が得られるほか、ゼロ金利適用枠が拡大することで、裁
定取引の機会も増え、マイナス金利の副作用を軽減することができるためだ。

金融機関が日銀にお金を預ける当座預金残高は3層構造になっている。プラス0.1
%が適用される「基礎残高」、ゼロ金利が適用される「マクロ加算残高」、そしてマイナ
ス0.1%が適用される「政策金利残高」だ。

マクロ加算残高に「余裕」を持つ金融機関は、マイナス金利で資金を調達して、ゼロ
金利で運用することができるため収益が得られる。一方、マイナス金利が発生している金
融機関にとっても、わずかでも小さいマイナス金利幅で資金を放出できれば、損が軽減で
きる。これが裁定取引だ。

「マクロ加算残高」が増えることは、こうした裁定取引の機会を増やし、マイナス金
利の副作用を減らすことにつながる。実際、新型コロナオペの開始後の無担保コール翌日
物金利市場では裁定取引の活発化により、レートが上昇している。

日銀が公表した業態別の日銀当座預金残高によると、6月の全体のゼロ金利適用枠は
179兆7130億円と、5月から約16兆円増加した。金融機関による新型コロナオペ
の活用によって、ゼロ金利適用枠が増えたとみられている。

みずほ証券のマーケットアナリスト、松崎涼佑氏は、新型コロナ対応オペの本質が「
マイナス金利の影響緩和策」であるとの見方を示す。無担保コール翌日物金利がマイナス
圏で推移する限り、つまり「マイナス金利政策」の体裁が保たれている限りは、マイナス
金利の副作用対策に重きを置くとみている。

短中期債需給に微妙な影響

新型コロナオペの鈍化は、短中期債の需給に微妙な影響を与える可能性がある。

オペの増加に伴って、マイナス金利が付かないマクロ加算残高が増えれば、リスクを
取って利回りの低い国債を買うよりも、日銀当座預金に資金を置くことが選好されやすい
可能性があった。オペが鈍化すれば、この点では短中期債の需給にプラス要因だ。

一方で新型コロナオペが鈍化すれば、担保としての短中期債需要は低下する。この点
はマイナス要因となる。

今回のオペの期日は2021年2月26日。現状では新型コロナオペは来年3月末で
終了される。市場では新型コロナによる影響が長期化する中、延長されるとの見方が多い
が、期日が近づいてきていることも、オペの利用鈍化につながった要因とみられている。
今後はオペの延長がいつ決まるかが焦点となってきそうだ。

関連記事一覧

PAGE TOP